服のシミ取りの方法|3つの汚れの種類を見極めて落とそう

服のシミ取りの方法

思いがけずつけてしまった汚れは、やがて落ちにくいシミになってしまいます。できるだけ綺麗にシミをとりたいところですが、汚れの種類によって効果的な落とし方は異なります。

この記事では、シミ取りで大切なポイントを四点お伝えした上で、服に付着するシミの種類についてまとめました。加えて、汚れの種類別のシミの具体的な落とし方、知っておくと役立つ油溶性のシミへの応急処置、時間がたったシミへの対処法についても解説しています。

シミ取りで大切なポイント4選

自宅でシミ取りを行う場合、あらかじめ知っておくべき良い注意点があります。大切な服を台無しにしてしまわないためにも、以下にご紹介する四つのポイントを押さえておきましょう。

①シミを取る前に服の状態を確認する

一つ目のポイントは、シミを取る前に服の状態を確認することです。具体的には、シミになっている汚れの種類と服の素材、タグなどに示されている洗濯マークをチェックしておきましょう。

服のシミ部分に水を垂らし、そのまま吸い込めば水溶性、弾けば油溶性、どちらでもない場合は不溶性の汚れだと言われています。それぞれのシミの特徴については、後ほど詳しくお伝えします。

また、水洗いできる素材の服であれば、自身でシミ取りを行うことが可能です。シルクやレーヨン、ウールの服は水に弱いので、縮みや色落ちのリスクがあります。自宅でシミ取りを行うよりも、クリーニングに出すことをおすすめします。

②シミがついたらできるだけ早めに落とす

二つ目のポイントは、服にシミがついたらできるだけ早めに落とすことです。汚れは時間経過によって変質し、繊維と固着するので、どんどん落としにくくなってしまいます。シミがついたらできる限り早く対処することが、綺麗にシミを落とす近道です。

③シミ部分はこすらない

三つ目のポイントは、シミ部分をこすらないことです。汚れがつくとティッシュやおしぼりでこすりがちですが、こすることでシミは広がってしまいます。シミはこするのではなく、叩いたり揉んだりして落としましょう。具体的なシミの落とし方については、後ほど詳しく解説します。

④繊維を傷めないよう注意する

四つ目のポイントは、服の繊維を痛めないように注意することです。洗剤やオイルを使ってシミを落とす方法がありますが、その際は服の目立たない箇所で少しだけ試して問題がなければシミ取りを行うのが無難です。目立つ場所にいきなり洗剤やオイルをつけると、繊維の痛みや色落ちが起きる危険性があります。

服に付着するシミの種類

服に付着するシミは、大きく「水溶性のシミ」、「油溶性のシミ」、「不溶性のシミ」の三つがあります。シミに効果的にアプローチするためには、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。

落としやすい水溶性のシミ

水溶性のシミは、三つの中で最も落としやすいシミです。水に溶けやすい汚れのため、すぐに対処すれば洗濯だけで落ちる可能性もあります。

水溶性のシミは、コーヒーや紅茶、ジュース類や酒類、ソースや醤油、ケチャップなどの食べ物由来の汚れが多めです。これらの汚れは、衣類用や食器用の中性洗剤でも落とすことができます。

血液や汗、牛乳や肉汁などのタンパク質系の汚れの場合、タンパク質を分解する成分が入っている洗剤がおすすめです。

洗濯では落ちづらい油溶性のシミ

洗濯だけでは落ちづらいのが、水に溶けにくく、油脂に溶け込む性質を持つ油溶性のシミです。例えば、チョコレートやバター、カレーやミートソース、口紅やファンデーション、油性ボールペンや機械油などの汚れが、油溶性に該当します。

油は熱で溶けやすいため、40〜60度のお湯を使うと油溶性のシミが取れやすくなると言われています。クレンジングオイルやベンジンなどの油系の溶剤も、油溶性のシミに有効です。

厄介な不溶性のシミ

水でも油でも落ちない厄介な汚れが、不溶性のシミです。泥や砂、墨汁やボールペンのゲルインク、錆などが不溶性に該当し、水にも油にも溶けにくいという特徴があります。不溶性のシミは、固形せっけんを使うと落としやすくなります。

汚れの種類別・具体的なシミの落とし方

3つのシミについて確認したところで、ここからは実際にシミを落とす方法について紹介します。時間の経過に応じて対応方法が異なるものもあるため、シミの状況に注意しながら落としていきましょう。

水溶性はぬるま湯と洗剤で落とす

まずは、水溶性のシミを落とす方法です。水溶性のシミは比較的落としやすく、ぬるま湯と洗剤を使い以下の手順で対処できます。

  1. ぬるま湯でシミの部分を流した後、シミの上から中性洗剤をつける
  2. シミがついた側の面をタオルの上に重ねる
  3. 歯ブラシに水をつけて、シミの周囲から中心に向かって優しくたたく
  4. タオルにシミをうつすことができたら、服を洗濯機に入れて洗う

シミが取れない場合は1〜4の手順を繰り返しましょう。
中性洗剤は衣類用がない場合でも、食器用洗剤で代用することができます。

なお、タンパク質は熱で固まる性質を持つため注意してください。血液をはじめとするタンパク質系のシミの場合は、シミの部分を水で流した後、酵素系漂白剤や酵素入りの洗剤を用いて落としましょう。

油溶性は洗剤やクレンジングオイルで落とす

次に、油溶性のシミを落とす方法です。油溶性のシミは、シミがついてから経過した時間で落とし方を判断します。ついたばかりのシミは中性洗剤のみで落とすことができますが、時間がたったシミや汚れが大きいシミの場合は、クレンジングオイルを用いて落とします。
基本的な手順は以下の通りです。

  1. シミがついた部分の下にタオルを敷いて、シミに中性洗剤やクレンジングオイルをつける
  2. 歯ブラシでシミの部分を優しくたたいた後、5分ほど放置して洗剤を衣類に浸透させる
  3. クレンジングオイルを使った場合は、シミの部分に中性洗剤をつけて、お湯でもむように洗う
  4. シミが取れたら、服を洗濯機に入れて洗う

油溶性のシミを落とすときは、シミの部分を水に濡らさないように注意しましょう。水があることで、油であるシミや洗剤が混ざらなくなってしまうためです。

不溶性は固形せっけんを使う

最後に、不溶性のシミを落とす方法です。不溶性はシミの原因によって事前の準備が異なりますが、固形せっけんをつけることで落とせることが共通した特徴です。
例えば、以下のような落とし方が挙げられます。

  • 墨汁の場合→シミの部分に直接中性洗剤をかけた後、固形せっけんをつけて落とす
  • 泥の場合→泥を乾かして砂をはたいてから、泡立てた固形せっけんをつけて放置する
  • ボールペンの場合→インクの部分をぬるま湯や水で濡らしてもみこんだ後、固形せっけんをつけてさらにもみこむ

いずれの素材の場合も、固形せっけんを使用して落とした後に洗濯機で洗います。
なお、ゲルインクのボールペンの場合はメイク落としシートを使って落とすこともできます。

油溶性のシミが付着した直後の応急処置

落ちにくい油溶性のシミを外出先でつけてしまうと、すぐに家に帰ってシミを落とすことが難しいです。しかし、応急処置をすることで、後で自宅で洗う際にもシミを落としやすくなります。ハンカチかティッシュペーパーと水があればすぐに使える方法なので、以下の手順を覚えておくとよいでしょう。

  1. ハンカチやティッシュペーパーを使い、油で汚れた部分を軽くたたきながらふき取る
  2. ハンカチやティッシュペーパーを水で濡らし、油で汚れた部分をたたく

もしその場にせっけんやハンドソープが置いてある場合は、ハンカチやティッシュペーパーにつけてから油汚れの部分をたたくのが効果的です。これらを使ったときは、汚れた部分を洗い流して乾燥させるようにしましょう。
また、帰宅後はすぐに洗濯することが必要です。もし洗濯だけでは落ちない場合は、クレンジングオイルを使ってシミを落としてください。

付着してから時間が経過したシミは落とせる?

時間がたつと落ちにくくなるシミには、汗、血液、飲み物、食べ物が挙げられます。
食べ物の汚れや汗などは、時間経過により黄ばむため、汚れを落とす作業に加えて漂白剤で黄ばみを落とす作業が必要になります。漂白剤を使う場合、漂白剤の強さや服の生地によっては繊維を修復する作業も必要になるため様子を見ながら使用しましょう。
タンパク質系のシミであれば、酸素系漂白剤や酵素入りの洗剤などでタンパク質を分解する必要があります。

まとめ

服のシミには大きく分けて3種類あり、それぞれのシミに適した落とし方があります。付着したシミはなるべく早く、こすらず取り除くことが大切です。落ちづらい油汚れでも、応急処置を施すことで落としやすく、また生地を傷めずに落とすことができます。シミの種類と落とし方を見分けて、大切な服を傷つけずお手入れしましょう。