シルク印刷のメリットとデメリットを解説!商品例も併せて紹介

シルク印刷は、高品質で耐久性の高い印刷物を作成する場合によく使われる印刷方法です。しかし、シルク印刷にはいくつかのデメリットがあり、目的や用途に合わせた印刷方法を用いる必要があります。
この記事ではシルク印刷の特徴やメリット、デメリットをくわしく解説し、オフセット印刷やオンデマンド印刷といったほかの印刷方法との比較もあわせて紹介します。
シルク印刷の印刷方法
シルク印刷は製品に文字やデザインを印刷する方法で、別名「シルクスクリーン印刷」とも呼ばれます。シルク印刷では版板(スクリーン)を使用し、以下の手順で印刷をおこないます。なお、現在使われるスクリーンはポリエステルやナイロンなどの樹脂製やステンレスなどの金属製でできており、小さな穴が開いているのが特徴です。
【印刷の手順】
- 印刷したい文字やデザインに合わせたスクリーン版板とインクを用意します。
- 被印刷体やスクリーンに汚れやホコリが付いていないかしっかり確認します。
- スクリーンを被印刷体に配置し、スクリーンの上にインクをのせます。
- スキージ(ヘラのようなもの)でインクを押し込みます。
- 焼付釜で乾燥させることで文字やデザインを被印刷体に定着させます。
シルク印刷はスクリーンを使ってインクを転写する手法であり、幅広い素材に適用できます。
シルク印刷のメリット
シルク印刷は高品質な印刷を施したい場合に便利な方法です。ここでは、シルク印刷を活用するメリットとして3つ紹介します。
大量生産に向いている
シルク印刷のメリットの1つは、大量生産が可能である点です。シルク印刷は色ごとに版板を作る方法であり、印刷する枚数が多ければ多いほどコストを安く抑えることができます。
印刷内容に変更がなければ版を新しくする必要がないため、版の再利用は経費の節約につながります。また、シルク印刷は予算に合わせて使用する色を最小限にしたり、版板の枚数も減らしたりすることが可能で、コストを調整しやすい点もメリットです。
インクが耐久性に優れている
シルク印刷ではインクを染み込ませる手法を使わず、インクを表面にのせて熱で乾燥させるやり方を採用しています。インクが被印刷体にしっかり定着するため高い耐久性を提供できます。
シルク印刷が施された衣類は洗濯にも強く、洗濯回数が増えても印刷の劣化を引き起こすケースはほとんどありません。色あせしにくく、印刷物の品質を長期間維持できます。
印刷物が長寿命で美しさを保てる利点は、スポーツウェアやロゴ入りTシャツなどに幅広く活用されています。
さまざまな素材に印刷が可能
シルク印刷は印刷したい素材本体にインクを盛る印刷方法であり、さまざまな素材に印刷することが可能で、多様な用途や目的に応じて利用されています。
下記、4つの素材はシルク印刷に対応しているものの一部になります。
- ポスターやパンフレット、包装紙など
- 衣類やのぼり、のれんなど
- プラスチック製品
- ガラスや陶器など
また、シルク印刷は平面だけでなくマグカップやコップなどの曲面にも印刷ができるなど、高い対応力を備えていると考えられます。
シルク印刷のデメリット
多様な素材に活用しやすいシルク印刷は耐久性に優れ、大量生産に向いていますが、いくつかのデメリットもあります。下記では、3つのデメリットについて詳しく紹介します。
小ロットの生産には向いていない
シルク印刷のメリットであるコスト削減は大量生産を前提としているため、デメリットとして小ロットの生産には向いていない点が挙げられます。
シルク印刷をおこなう際には版板の作成が必要です。版板作成には一定の費用がかかり、枚数に関係なく費用が一律に発生します。このため、印刷数が少ない場合は1枚あたりの費用が高くなり、費用対効果を感じられないかもしれません。
小ロットの印刷を検討する際は、シルク印刷の版板製作費や印刷単価が高くなる点を考慮し、ほかの印刷方法を検討することも視野に入れましょう。
細かいデザインの再現が難しい
シルク印刷は版を使用してインクを表面に直接のせる印刷方法です。シルク印刷の場合、グラデーションなど細かいデザインの表現が難しい場合があります。
例えば、線幅が0.5mm以下や隙間が1mm以下の部分はつぶれやかすれが生じ、場合によっては、消えてしまう恐れがあります。また、濃度の調整が難しく、中間色や異なる濃度の色を再現するのは制約があります。
網点の版板を使用すればグラデーションや細かなデザインを表現することは一部可能ですが、下地の素材によって出来栄えが異なるため注意が必要です。
シルク印刷を選ぶ場合は、デザインが印刷可能なものであるか印刷会社と相談するようにしましょう。
納期の短縮が難しい
シルク印刷は色ごとに版を作成し、印刷後にインクの乾燥が必要となるため、納期の短縮が難しいというデメリットがあります。
シルク印刷に必要な版板の作成には時間がかかり、印刷後の熱乾燥にも時間が必要です。シルク印刷で注文した商品が完成するまでには、少なくとも1週間以上かかるといわれます。
納期を急ぐ場合や時間に余裕がないときには、シルク印刷以外の印刷方法を検討することで、スムーズな対応が可能です。
シルク印刷を活用した商品例
シルク印刷は幅広い商品に活用され、さまざまな素材に印刷が可能です。以下に紹介するのはシルク印刷を活用した商品例です。
- カスタムデザインのTシャツ
- プロモーション用のトートバッグ
- ノベルティアイテム(キーチェーンやストラップ、ポスターなど)
- ボトルやタンブラーなど筒状のもの
インクの染みやすい布素材や金属、プラスチックまで、幅広い素材に印刷が可能です。さらに、点字やステッカーなどの凹凸面への印刷に対応できます。
シルク印刷以外の印刷方法の特徴
印刷物の数量や納期、コスト面を考慮して、シルク印刷以外の方法を選択する場合もあるでしょう。下記では、オフセット印刷とオンデマンド印刷の2点について解説します。
オフセット印刷
オフセット印刷は、パンフレットやフライヤー、カタログ、雑誌などの印刷物に活用される印刷法で、平板印刷とも呼ばれています。オフセット印刷では、一度版からインクをブランケットに転写してから対象物に印刷されます。
下記はオフセット印刷のメリットとデメリットについての説明です。
■メリット
オフセット印刷は版を使用するため大量印刷に適しており、品質の一貫性を保てます。インクが被印刷体にしっかりと密着するため、高品質な仕上がりを得られます。このほか、小さな文字や細部も鮮明に印刷できる点もオフセット印刷の特長です。
■デメリット
少量の印刷物をオフセット印刷で製作する場合、単価が高くなる可能性があります。また、シルク印刷と同様に、版の作成とインクの乾燥に時間がかかって納期の遅れが懸念されるため、数量と納期を考慮して見積もりをおこないましょう。
オンデマンド印刷
オンデマンド印刷は、デジタルデータを使用して直接印刷をおこなう印刷方法です。版板を使わず、高速デジタル印刷機を利用しています。
オンデマンド印刷のメリットとデメリットをまとめると、下記のとおりです。
■メリット
オンデマンド印刷のおもなメリットは、少部数からでも印刷が可能であることです。需要に応じて必要な時に必要な量だけ印刷できます。この方法を利用すれば短納期に対応でき、特定の部分を変更して連続印刷することも可能です。版の作成コストがかからず在庫の必要がないため、コストの削減にもつながるでしょう。
■デメリット
一方で、印刷部数が増えるとコストが上昇し、長期保存には向かない特性があります。また、モノクロ印刷やグレースケールの場合、オフセットと比較して黒インクのテカリが気になる場合があります。
以上のようなメリットやデメリットを考慮すれば、ポストカードや挨拶状、告知用ポスター、Tシャツなど少量のパーソナライズされた印刷物に適していると考えられます。
まとめ
シルク印刷は版を使用した大量生産向きの印刷法であり、多様な素材に印刷できる利点があります。その反面、版代や小ロット印刷にコストがかさみ、細かいデザインの再現や納期の短縮が難しい点が課題です。
Tシャツキングではシルク印刷の取扱いはありませんが、オンデマンド転写によって鮮やかなフルカラー印刷を実現できます。細かいデザインの再現力も高く、少量から印刷が可能です。さらに、版代が不要であるためコストを削減できます。
この記事で紹介したように印刷方法にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。印刷を依頼する場合は、目的や用途に合わせて適切な印刷方法を選択しましょう。