外れたファスナーの直し方とは?原因別に自分で簡単に直す方法を解説

ファスナーが外れたり壊れたりしてしまい、どのように直したらいいのか、どのタイミングで取り替えたらいいのか分からないという方もいるのではないでしょうか。このコラムでは、ファスナーの構造をはじめ、原因別の直し方や必要な道具、取り替えが必要な場合などについて解説しています。
自分でファスナーを直したい方や取り換えるタイミングが知りたいという方はぜひ参考にしてください。
ファスナーの構造と役割
ファスナーは5つのパーツから構成され、それぞれに役割があります。ファスナーに用いられる素材を大きく分けると、金属製とプラスチック製の2種類です。金属製のファスナーは、引っ張りや摩擦に強く、耐久性が求められる場面で使用されます。プラスチックのファスナーは、軽量なことや錆びないという特徴があります。
ここでは、ファスナーに使われる5つのパーツについて簡単に解説します。

エレメント
エレメントは、ファスナーの両サイドにある、凸凹したギザギザの突起がついているパーツです。務歯(むし)とも呼ばれます。持ち手であるスライダーを上下させることで、左右のエレメントが動く仕組みです。ファスナーの開閉には、エレメントがつなぎ合わさったり離れたりする性質を利用しています。
スライダー
スライダーは、ファスナーを開けたり閉めたりするときの、持ち手となる部分です。エレメントに沿って移動させると、ファスナーが開閉できます。
スライダーは、「柱」「胴体」「引手」の3つで構成されています。ファスナーの開け閉め時に持つのが引手、引手を取り付けているのが柱、エレメントと面しているのが胴体です。一般的にスライダーは、金属やプラスチック、合成素材から作られています。
テープ
テープとは、エレメントと生地をつなぐ境目の部分のことです。エレメントが外れたり曲がったりしないようにするため、テープには頑丈な生地を使用するのが一般的です。テープに使われる定番の素材として、綿や合成繊維のポリエステルなどがあります。
上止と下止
上止と下止はファスナーの上下についているパーツのことを指します。上止は、スライダーがファスナーから抜け落ちることを防いだり、上部でスライダーの動きを止めたりする役割があります。
下止は、ファスナーを閉じた際にスライダーがそれ以上、下に動かないようにしたり、エレメントが外れたりしないようにする役割を持っています。
自分でできる!原因別のファスナーの直し方5選
ここでは、原因別にファスナーの直し方を5つ紹介します。自分でも簡単にできる直し方のため、ぜひ参考にしてください。
ファスナーが生地を噛んだ場合
まずは、ファスナーが生地を噛んだ場合の直し方を紹介します。ファスナーが生地を噛むというのは、スライダーを上下させたときに服やバッグなどの生地も一緒に巻き込み、そのままスライダーが動かなくなる状態のことを指します。
無理にファスナーを開け閉めしようとすると、巻き込んだ生地を傷めてしまったり、スライダーが壊れてしまったりする可能性があります。そのため、噛んでしまった方向と逆方向にスライダーを引っ張りながら、挟まった生地をゆっくりと引き出してください。
生地を引っ張っても外せないというケースも考えられます。この場合は、マイナスドライバーの先端部をスライダーの隙間に差し込み、少し広げてから生地を慎重に引き出しましょう。
ファスナーを閉めても開く場合
ファスナーを閉めても開く場合は、2つの原因が考えられます。1つ目は、スライダーに隙間ができてしまい、エレメントの噛み合わせが上手くいかないケースです。この場合は、スライダーをペンチで挟み、隙間を狭めることで解決します。
2つ目は、エレメントの曲がりが原因で、噛み合わないケースです。こちらのケースでは、曲がったエレメントをペンチでまっすぐにして、正しい向きにすると対処することができるでしょう。エレメントが曲がってしまっている場合は、取り換えを検討するとよいでしょう。
エレメントがずれる場合
エレメントは左右対称のパーツですが、ずれが生じてしまうことがあります。エレメントがずれている場合、スライダーを最後まで動かしたときに、片側が余ってしまいます。主な原因としては、摩耗の影響で片側のスライダーにゆるみが生じていることが考えられます。
エレメントがずれる場合は、以下の手順を試すとよいでしょう。
- 手順①:エレメントが余っている方の生地を引っ張り、両側のエレメントが左右対称に揃うよう、位置を合わせる
- 手順②:ペンチでスライダーのゆるみを締めてから、改めてファスナーを開閉させる
上記手順でも直らない場合は、マイナスドライバーを使ってスライダーの隙間を埋めることで解決することがあるので、試してみてください。
スライダーの片方が外れた場合
スライダーの片方が外れてしまったら、マイナスドライバーとペンチを使用して直します。
ただし、まずは手作業で、スライダーの隙間にエレメントが入るかどうか試してみましょう。エレメントを手で曲げ、突起部分を1つだけスライダーの隙間に押し込んでみると、簡単にはめられることがあります。
手作業で上手くいかない場合は、以下の手順で解消しましょう。
- 手順①:スライダーの隙間部分を、マイナスドライバーで少しずつ広げる
- 手順②:広げた隙間にエレメントを挟んだまま、ペンチで少しずつ挟んでいく
上記の手順をした後にスライダーが動けば完了です。
スライダー自体が外れた場合
スライダー自体が外れた場合は、以下の手順で直しましょう。スライダーの片方が外れた場合と、ほぼ同じ手順です。
- 手順①:マイナスドライバーとペンチを使い、スライダーの隙間を左右どちらも少しずつ広げる
- 手順②:エレメントを挟んだままの状態で、ペンチでスライダーを挟みつつ少しずつ隙間を狭める
片方ずつ調整していくのが作業のポイントです。
ファスナーの取り替えが必要な場合
最後にファスナーの取り替えが必要な場合について、2パターン紹介します。
エレメントが欠けた・変形してしまった場合
エレメントが欠けて欠けてしまったものや、溶けて変形してしまったものは修理ができません。この場合は、新しいファスナーに取り換える必要があります。
ただし、エレメントが曲がっている、ずれているのであれば、ペンチなどの道具を使用することで元に戻せる場合があります。紹介した手順を参考に、直してみましょう。
テープが破れてしまった場合
テープが激しく損傷している場合や、エレメント部に布が残っていないケースでは、古いファスナーを取り外して新しいファスナーに交換しましょう。
なお、テープの損傷がほとんどなく、エレメントにも布が付着しているようであれば、破れたテープとエレメントに残った布を縫い付けて修理できることもあります。この時、エレメントに糸がかからないよう、注意してください。
まとめ
今回は、ファスナーの構造と役割をはじめ、原因別の直し方、取り替えが必要な場合などについて解説しました。
私たちにとって身近なファスナーですが、構造を知っておくことで、壊れてしまったときにも対応できます。コラムの直し方を参考に、ぜひご自身でチャレンジしてみてください。
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※当店ではファスナーを直す際に使用する道具の販売は行っておりませんので予めご了承ください。